統合失調症症状

統合失調症の症状は多彩なため、全体を理解するのが難しいのですが、ここでは幻覚・妄想、生活の障害、病識の障害の3つを示します。

幻覚と妄想は、統合失調症の代表的な症状です。幻覚や妄想は統合失調症だけでなく、ほかのいろいろな精神疾患でも認められますが、統合失調症の幻覚や妄想には一定の特徴があります。幻覚と妄想をまとめて「陽性症状」と呼ぶことがあります。

幻覚とは、実際にはないものが感覚として感じられることです。
統合失調症で最も多いのは、聴覚についての幻覚、つまり誰もいないのに人の声が聞こえてくる、ほかの音に混じって声が聞こえてくるという幻聴(幻声)です。
「お前は馬鹿だ」などと本人を批判・批評する内容、「あっちへ行け」と命令する内容、「今トイレに入りました」と本人を監視しているような内容が代表的です。
普通の声のように耳に聞こえて、実際の声と区別できない場合、直接頭の中に聞こえる感じで、声そのものよりも不思議と内容ばかりがピンとわかる場合などがあります。
周りの人からは、幻聴に聞きいってニヤニヤ笑ったり(空笑)、幻聴との対話でブツブツ言ったりする(独語)と見えるため奇妙だと思われ、その苦しさを理解してもらいにくいことがあります。

妄想とは、明らかに誤った内容であるのに信じてしまい、周りが訂正しようとしても受け入れられない考えのことです。
「街ですれ違う人に紛れている敵が自分を襲おうとしている」(迫害妄想)
「近所の人の咳払いは自分への警告だ」(関係妄想)
「道路を歩くと皆がチラチラと自分を見る」(注察妄想)
「警察が自分を尾行している」(追跡妄想)
などの内容が代表的で、これらを総称して被害妄想と呼びます。
時に「自分には世界を動かす力がある」といった誇大妄想を認める場合もあります。
妄想に近い症状として、
「考えていることが声となって聞こえてくる」(考想化声)
「自分の意思に反して誰かに考えや体を操られてしまう」(作為体験)
「自分の考えが世界中に知れわたっている」(考想伝播)
のように、自分の考えや行動に関するものがあります。思考や行動について、自分が行っているという感覚が損なわれてしまうことが、こうした症状の背景にあると考えられることから、自我障害と総称します。

統合失調症の幻覚や妄想には、2つの特徴があります。その特徴を知ると、幻覚や妄想に苦しむ気持ちが理解しやすくなります。

1は、内容の特徴です。幻覚や妄想の主は他人で、その他人が自分に対して悪い働きかけをしてきます。つまり人間関係が主題となっています。その内容は、大切に考えていること、劣等感を抱いていることなど、本人の価値感や関心と関連していることが多いようです。このように幻覚や妄想の内容は、もともとは本人の気持ちや考えに由来するものです。

2は、気分に及ぼす影響です。幻覚や妄想の多くは、患者さんにとっては真実のことと体験され、不安で恐ろしい気分を引き起こします。無視したり、ほうっておくことができず、いやおうなくその世界に引きずりこまれるように感じます。場合によっては、幻聴や妄想に従った行動に走ってしまう場合もあります。「本当の声ではない」「正しい考えではない」と説明されても、なかなか信じられません。

                                     (厚生労働省ホームペーより)