うつ病の認知と認知行動療法

うつ病の臨床症状の背景には、将来に対する悲観的な評価や自己に対するネガテイブな評価など、

うつ病患者特有の認知機能障害がある(Beck.1979) これまで、うつ病患者において自分に関連した

ネガテイブな情報の記憶成績が高いことやネガティブな情動刺激に対する注意バイアスなどが数多く報告されており、これらのネガティブな認知と情動の相互作用が、うつ症状と結びついていることが明らかになっています。 また報酬に対する感受性の低下や罰に対する感受性の上昇も示唆されており、うつ病の維持・憎悪に関与する複数の機能障害が明らかにされています。

 

うつ病に対する認知行動療法は、このような機能障害に対して、より柔軟な思考や認知の学習、行動を変化することで、うつ病の治療を目指す精神療法です。

具体的な方法には、日々の生活の中で自身の認知、情動、行動の記録をつけることで、うつ病の背景にあるこれらの要因の関係性を自己観察するセルフモニタリングや、ネガティブな認知にたいしてより適応的で現実的な認知の適応を行うことで情動制御をおこなう認知再構成、快活動の増加と回避行動の減少によって気分を改善する行動活性化などの技法があります。

実際の臨床では、さまざまな技法をいろいろ組み合わせておこなっています。

うつ病に対する認知行動療法の有効性は、大規模な効果研究によって確かめられており、薬物療法と同等の有効性をもつとされています(DeRubeis et al,2005)。

 

認知療法研究 4-2 sep.2011 より引用