感情と健康3

いま世界各国で感情と健康の関係を明らかにする研究をおこなわれている。

その中での研究の問題点の一部として,ネガティブ感情の急性反応と慢性反応,ポジティブ感情の急性反応と慢性反応がそれぞれに及ぼすインパクトを明らかにすることが求められる。次に急性のネガティブ感情反応が慢性のネガティブ感情反応に移行するメカニズムを解明することが求められる。そしてネガティブ感情とポジティブ感情の相対的活性あるいは不活性が生体におよぼすインパクトを明らかにすることが求められる。最後にネガティブ感情とポジティブ感情のそれぞれの作用原理を踏まえて,人を活かし,人生を豊かにするための生活技術を開発することが期待される(余語, 2007)

実際ポジティブな感情状態にある時どのような事が起こっているのであろうか。またポジティブな気持ちになることはどのような影響を与えるのであろうか。このような疑問に対しては現時点では明らかにされていない部分が多い。

しかしポジティブ感情が,私たちの幸せや幸福感,ウェルビーイングと関連していると考えられる。ポジティブ感情として例えば,幸せ,喜び,満足,興味,愛などがあげられる。私たちはこれらのポジティブ感情を経験することによって,たとえそれがその瞬間だけであっても,ポジティブな状態になる。そして感情は主観的な経験で動機付けの働きをもち,表情や行動反応,整理反応などの変化を伴うものである。

ポジティブな感情を経験することによって,注意の幅が広がってゆくまたターゲットに対する注意を向ける速度や識別反応などが報告されている(Fredrickson & Branigan, 2005)

つまりポジティブ感情を経験することにより様々なことに目を向けたり考えられたりするようになるそしてその結果身体的,社会的,知的な個人資源を獲得し,形成することができるようになり対処能力やレジリエンスを高め最終的に健康やウェルビーイングを促進することにつながる(Fredrickson,& Joiner, 2002)といわれている。

フレドリクソンの拡張−形成理論から考えると,ポジディブ感情は,自己というよりもむしろ他者の方向に注意を持っていると思われる。たとえば,嬉しい気持ちの時には,より周囲に目が向いたり,他者とのかかわりが増えるということである。