感情と健康1

健康状態を作り出す基盤としての感情果たす役割について。

感情という生物学的システムは,健康状態を作り出し,健康を維持する中心的な役割を果たしていると考えられる。われわれ人間が備えている感情システムの性質と作用を理解することが,健康の維持増進と生活習慣病を含む疾病の予防・治癒の鍵であると考えられる。

感情システムは本質的には,生命を維持するために進化したものであり,感情システムが適正に作動することにより健康状態が実現する(余語, 2007)

感情システムは生命活動を守る免疫システムであり,環境と生活体の関係に応じて,最適な反応モードを活性させ,問題解決を可能にしているように見える(余語, 2007)

ストレスと健康として,何世紀にもわたりさまざまな非物理的な現象−ヒステリー,うつ,神経衰弱,心配,緊張のような状態が疾患の原因やそれに寄与する要因になりうるものとして注目されてきた(Doublet, 2000)。またこれは,生体が脅威を受けたときには,主として自立神経系による自働調整機能が働き脅威への対処と体内環境の安定性の回復が実現する。

1970年代以降は生物学的要因だけではなく心理行動要因や社会的要因が健康に寄与するとする仮説を検証する心身医学,行動医学,健康心理学,精神神経内分泌免疫学などの健康科学の研究が盛んになってきた。ヘンダーソンとバウムは(Henderson & Baum, 2005),健康の行動学モデルを提案している。このモデルは,ネガティブ感情が健康状態の維持や疾病の重要な役割を果たすものとして位置づけられている。このモデルでは,身体健康ならびに精神的健康状態に作用する主要な要因として,生物学的変化と行動の変化,そしてネガティブ感情に注目する。中枢神経系において外的事象や内的事象の検出・解釈・診断がなされると,生物学的変化とネガティブ感情状態が生じる。生物学的変化とネガティブ感情状態はしばしば同時に行動変化を促す。